決議事項 ~内部統制システムの決議1~
2015年2月25日 掲載
○取締役会の権限
取締役会の権限であり、かつ取締役に委任することができない決議事項として、「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(会社法362条4項6号、一般的に「内部統制システム」といわれることがあります。)が規定されています。
したがって、この規定に基づいて取締役会決議がなされた場合には、取締役会議事録に記載する必要があります。
○会社法上の内部統制システムとは?
従業員の少ない会社では、取締役が会社の人的活動について隅々まで目を光らせることもできるかもしれません。しかし、一定規模以上の会社になると、取締役が直接、個々の従業員の活動にまで監視することは不可能です。
そこで、そのような会社では、会社の計算及び業務執行が適正かつ効率的に行われることを確保するため、取締役が業務執行の手順を合理的に設定するとともに、不祥事の兆候を早期に発見し是正できるように人的組織を組み立てるべきです。
会社法では「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(362条4項6号)を取締役会の権限であるとし、大会社の取締役会設置会社においては、決定が義務づけられています(会社法362条5項)。
具体的に記載しなければならない事項については、会社法施行規則100条1項各号(監査役設置会社については100条1項及び3項)に規定が設けられています。
○記載例
1.取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備の決定について
議長から、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備(会社法362条4項6号)について、下記のとおり体制を整備したい旨の提案があり、議長この賛否を図ったところ全員異議なくこれを決議した。
記
(1)取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
当社は、法令の順守にとどまらず、高い倫理観に基づいた企業活動を行うため、すべての取締役・使用人が順守すべきコンプライアンスに関する行動規範として、「A社役職員・コンプライアンスコード」を定めるとともに、コンプライアンス体制の継続的な強化のため、以下の体制を整備する。
- チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を選任し、CCOは当社のコンプライアンス体制の確立・強化に必要な施策を立案・実施するとともに、定期的にコンプライアンスに関する課題・対応状況を取締役会に報告する。
- 取締役・使用人が直接報告・相談できる社内外のホットライン(内部通報窓口)を設置し、企業活動上の不適切な問題を早期に発見・改善し、再発防止を図る。
- 業務監査室は、業務執行が法令・定款等に適合しているかについて監査を実施し、監査結果を社長、担当取締役に報告する。また、当該監査結果を監査役に提供することにより、監査役と連携を図る。
(2)取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
当社は、取締役会議事録や稟議書など、取締役の職務執行に係る文書およびその他の重要な情報について、適切に保存・管理するため、以下の体制を整備する。
ア.「情報管理規程」に基づき、保存の期間や方法、事故に対する措置を定め、機密度に応じて分類のうえ保存・管理する。
(3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、事業運営におけるさまざまなリスクに対し、回避、軽減その他の必要な措置を行うため、以下の体制を整備する。
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(4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、効率的な運営体制を確保するため、以下の体制を整備する。
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(5)監査役の職務を補助すべき使用人に関する体制および当該使用人の取締役からの独立性に関する事項
当社は、監査役の職務を補助する組織として監査役室を設置し、専属の使用人を配置する。また、当該使用人への指揮・命令は監査役が行うものとし、その人事異動・人事評価等は監査役の同意を得る。
(6)監査役への報告体制
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(7)その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
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