決議事項 ~重要な財産の処分及び譲受け1~

2015年1月28日 掲載

 営利目的で設立されている株式会社にとっては、重要な財産の処分及び譲受けについては、非常に重要な事項です。このような場合には、取締役会決議が必要とされています。今回からは、「重要な財産の処分及び譲受け」の説明をしたいと思います。

■取締役会の権限

 取締役会設置会社では、取締役会の権限として、取締役会設置会社の業務執行の決定・取締役の職務の執行の監督・代表取締役の選定及び解職が定められています(会社法362条2項1~3号)。これらの権限の一部は、取締役に委任することもできますが、重要な財産の処分及び譲受け(同4項1号)・多額の借財(同2号)等、362条4項各号の事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができないとされています(362条4項本文)。したがって、重要な財産の処分及び譲受けについては、取締役会において決定しなければなりません。
 そこで、重要な財産の処分及び譲受けの決定を取締役会でした場合には、取締役会議事録への記載が必要となります。

■記載例

1.土地の売却について

 A常務取締役から下記の土地については国土利用計画法23条1項の届出を終了し、不勧告通知書を受理したので、下記の条件で売買契約を締結したい旨を提案、議長これを議場に諮ったところ全員異議なくこれを決議した。

  1. 土地の表示  東京都中央区△△△町×丁目×番×号
  2. 地   目  宅地
  3. 地   積  ○○○平方メートル(登記簿上)
  4. 譲 受 人  甲野 太郎
  5. 売買代金   1m2当たり○○○万円
  6. 支払方法   平成○年◯月◯日 現金一括払い
  7. 登記の申請日 平成○年◯月◯日
  8. 契約締結日  平成○年◯月◯日

 当該土地が「重要な財産」に当たるのであれば、取締役会決議が必要となります。そして、重要な財産であるので、決議をする際には、どの土地かを特定する必要があります。そこで、土地の表示・地目を記載します。また、契約を締結する予定の譲受人・売買代金・支払方法・登記の申請日・契約締結日を記載します。

■重要な財産とは?

 「重要な財産」であれば、取締役会の決議が必要であるとしても、どの財産が重要な財産かは、不明確で判断が難しい場合が多いと思われます。
 そこで、次回からは、「重要な財産の処分及び譲受け」の意味について説明したいと思います。


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