決議事項 ~取締役の報酬の決定~
2014年11月5日 掲載
○取締役の報酬についての決定方法
取締役の報酬については、定款で定めていない限り、株主総会決議によって決めなければなりません(会社法361条1項)。株主総会決議によって決めるとされている趣旨は、取締役のお手盛りを防止するためです。したがって、お手盛りの弊害を防げばいいので、株主総会で取締役の報酬の総額を定めた上で、各取締役の個別の報酬を取締役会の決定に委ねることは許されます(最判昭和60年3月26日 判時1159号150頁)。
そして、各取締役の個別の報酬については、取締役会が代表取締役にその決定を一任することもできます(名古屋高裁金沢支判昭和29年11月22日 下民集5巻11号1902頁)。
第3号議案 取締役月額報酬の決定の件
議長より、取締役の平成×年×月以降の月額報酬を社長に一任したいと議場に諮ったところ、全員異議なく了承した。
実務的には取締役の個別の報酬額を記載するのは稀で、上記のとおり社長に一任することが大多数となっています。
○委員会設置会社での取締役の報酬
委員会設置会社においては、執行役・取締役・会計参与が受ける個人別の報酬の内容については、株主総会や取締役会で決定するのではなく、報酬委員会で決定することとなります(会社法404条3項)。したがって、委員会設置会社では、取締役の個別の報酬額についての決定を取締役会議事録に記載することはありません。
○使用人兼務取締役の報酬
使用人兼務取締役には、取締役としての報酬に加えて、使用人としての給与が会社から支払われます。そして、使用人としての給与部分については、あらかじめ取締役会の承認を得て一般的に定められた給与体系に基づいて給与を受け取る場合であれば、会社法361条の適用を受けず、取締役会の決議は不要です。
5.取締役給与額の改定について
議長から、取締役の月額給与額を次のとおり改定したい旨の提案があり、全員異議なくこれを決議した。
A 取締役社長 ×××万円
(取締役報酬)
・・・・・・・・・・
D 取締役 ×××万円
(うち取締役報酬 ××万円)
上記の例のとおり、各取締役の報酬額を記載するのは極まれですが、上記のとおり取締役報酬分を差し引きすることで、使用人分給与が分かるように記載することも考えられます。
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