取締役会議事録の作成義務と作成通数

2014年7月9日 掲載

○取締役会議事録の作成義務者と作成時期

●作成義務者

 取締役会議事録の作成義務者については、会社法上の規定はありません。実務的には議長である取締役が作成するのが一般的です。
 作成者は議長であるといっても、議長自身が実際に作成する必要はなく、他人に作成させた上で、その記載内容が真実であることを確認した上で署名又は記名・押印したものであっても、問題ありません。

 取締役会における議長についても会社法上の規定はありません。したがって、定款又は取締役会規則に定められた場合には、その者が議長となります。
 定款等で議長を定める場合、社長や会長を定めるか、あるいは、議長となるべき取締役の順序について定めていることが一般的です。定款等で議長の定めがない場合には、開催に際して取締役会で決定することとなります。

●作成時期

 作成時期についても会社法上の規定はありませんが、取締役会の内容を忠実に記録しておくためには、取締役会終了後遅滞なく作成すべきです。

○取締役会議事録の作成通数

●取締役会議事録の作成通数は?

 取締役会決議や株主総会決議に限らず、議事録等の書面を作成する場合には、原本は、原則として1通のみ作成します。ただし、登記申請に際して取締役会議事録が添付書類となる(商業登記法46条2項)ことから、実務的には、保存用の原本以外に、登記用の原本をもう1通作る会社が多くなっています。

●電磁的記録による場合は?

 株主総会終了後の取締役会には付議事項が多いため、株主総会議事録よりも取締役会議事録の方が大きくなることが多いです。取締役会議事録は電磁的記録によることもできます(会社法369条4項)。したがって、取締役会議事録を電磁的記録により作成し、それを添付書類として登記申請する場合には、保存用の原本としてのフロッピーディスク、CD-ROMまたはCD-Rと、登記申請する際の添付書類として提出するフロッピーディスク、CD-ROMまたはCD-R(商業登記法19条の2商業登記規則102条2項ただし書)の2つが作成されることとなります。

○取締役会議事録の保管

 取締役会議事録は、株主総会議事録と異なり、内容が多岐にわたり、かつ業務執行の決定等重要事項を含むものであるので、取締役会議事録の保管や写しの作成については厳重に取り扱わなければなりません。したがって、取締役会議事録の内容を出席取締役や出席監査役にチェックしてもらうべきです。
 例えば、出席取締役・出席監査役に議事録に異議のないことを確認してもらい、署名をしてもらうことや、または、原本には秘書室などの保管している役職印を押す場合でも、写しは必ず本人が直接押印か署名をして保管することが考えられます。


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