報告事項の報告(1) ~報告事項とは?~
2014年1月24日 掲載
○計算書類・事業報告及びその附属明細書
(1)計算書類・事業報告及びその附属明細書の作成・監査・取締役会の承認
株式会社は、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるもの)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければなりません(会社法435条2項、会社計算規則59条)。
会計監査人設置会社では、計算書類及びその附属明細書については監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければなりません(会社法436条2項1号)。事業報告及びその附属明細書については監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)の監査を受けなければなりません(会社法436条2項2号)。これらの監査を受けた上で、取締役会の承認を受けなければなりません(会社法436条3項)。
(2)事業報告・計算書類が株主総会の報告事項となるか?
取締役は、事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならないとされています(会社法438条3項)。したがって、事業報告は報告事項となります。
一方、計算書類については、定時株主総会の承認を受けなければならないとされています(会社法438条2項)。したがって、計算書類については原則、報告事項には含まれません。ただし、会計監査人設置会社においては、会計監査人の会計監査報告の内容に無限定適正意見が含まれており、会計監査報告に係る監査役等の監査の内容として会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認める意見がなく、監査役等の監査報告に付記された内容が相当でないとの意見でない場合には、株主総会の承認は不要で、株主総会に報告すれば足ります(会社法439条、会社計算規則135条)。したがって、この場合には報告事項となります。
○連結計算書類
(1)連結計算書類の作成
事業年度の末日において大会社であって金融商品取引法24条1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表[会社法444条1項、会社計算規則61条1号])を作成しなければならないとされています(会社法444条3項)。
連結計算書類は、会計監査人設置会社においては、監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければなりません(会社法444条4項)。一方、会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、監査に加えて、取締役会の承認を受けなければなりません(会社法444条5項)。
(2)連結計算書類は株主総会の報告事項となるか?
監査や取締役会の承認を受けた連結計算書類は、その内容及び監査の結果を定時株主総会に報告しなければならないとされています(444条7項)。したがって、連結計算書類についても株主総会の報告事項となります。
今回は、株主総会の報告事項とは何かを説明しました。次回は、報告事項の具体例を記載しながら説明したいと思います。
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