役員等の出席状況、議決権個数の報告

2014年1月14日 掲載

 今回は、「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」(会社法施行規則72条3項2号)で記載すべき事項のうち、役員等の出席状況・議決権個数の報告について説明します。

○役員等の出席状況

 会社法では「取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。」(会社法314条本文)と規定されています。説明をするためには、株主総会に出席しなければなりません。そこで、取締役、会計参与、監査役及び執行役には株主総会への出席義務があります。
 会計監査人についても「定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない」(会社法398条2項)と規定されています。
 したがって、株主総会への役員等の出席状況を記載することとなります。

 株主総会議事録への記載事項として「株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称」(会社法施行規則72条3項4号)が規定されています。役員等の出席状況を記載することで、この規定についても記載したこととなります。

<具体例>

3.出席者

  欠席者
取締役  A , B , C , D , E 及び F の○名
監査役  甲 , 乙 及び 丙 の○名
取締役G(病気のため欠席)、取締役H(海外出張のため欠席)、
取締役I(他社株主総会出席のため欠席)の○名

 株主総会議事録には、欠席者とその理由のみを記載し、出席者については省略することがあります。これは、取締役、会計参与、監査役及び執行役には株主総会への出席義務があり、原則出席しているものである以上、省略していると考えられます。
 しかし、取締役、会計参与、監査役及び執行役には重要な説明義務があり、会社法施行規則も「株主総会に出席した取締役、・・・」と規定されていることから、出席者についても記載する方がよいと思われます。

○議決権個数の報告

 ここでは、「当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法を含む」(会社法施行規則72条3項1号)の内容を報告した旨を記載します。
 「当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法」の内容については、既に説明しました。

 「当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法」については、当該議案の決議要件である定足数を満たしているかを把握する上で重要であることから、報告がなされる必要があります。

 定足数は、会社法では「議決権を行使することができる株主の議決権を有する株主が出席し」(会社法309条1項)と規定されていることから、「議決権を行使することのできる株主の議決権個数」(「議決権を行使することができる株主数」と「その議決権個数」を分けることも可能)を記載しなければなりません。

<具体例>

○○株式会社第×期定時株主総会議事録

 平成○○年6月27日(木)午前10時から○○県○○市○○区△丁目△番△号 当社本店○階大会議室において、○○株式会社第×期定時株主総会を開催した。
 定刻、定款の定めにより取締役社長A議長席につき、開会を宣した。
   議長は、株主の出席状況について次の通り報告するとともに、本総会は議案の決議に必要な会社法および定款の定足数を満たしている旨を報告した。

1,株主の出席状況等

議決権のある総株主数
その議決権の総数
出席株主数(書面による議決権行使・委任状出席を含む)
その議決権の総数
・・・・・
[  ]名
[   ]個
[  ]名
[   ]個

 以上をもって、報告及び全議案の審議を終了したので、議長は午前11時30分閉会を宣した。

以上

 定足数は会社法あるいは定款によって定められるものであるから、単なる「定足数」ではなく、「会社法および定款の定足数」と記載すべきです。
 また、定足数は「決議」の定足数であることから、「審議」等とは記載せず、「決議」と記載すべきです。

<問題のある例>

 出席株主数およびその議決権数を報告し、本総会は決議に必要な要件を満たしているので、全議案につき本総会は適法に成立した旨報告した。

 以上のとおり、本総会は適法に成立した旨を述べた。

 これらの例は、「本総会は適法に成立した」と記載されています。しかし、会社法には株主総会自体の成立要件の規定はなく、規定があるのは決議の定足数です。したがって、「総会が成立した」と記載することは適切ではありません。


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