株主総会が開催された日時及び場所3 ~株主の出席方法の具体例2~
2013年12月17日 掲載
前回は、「株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法を含む)」(会社法施行規則72条3項1号)のうちの「株主が株主総会に出席した場合における当該出席方法」について典型例の説明をしてきました。
今回は、前回とは異なる具体例を説明していきたいと思います。
○議案ごとに株主の出席を書き分ける方法
本総会出席の株主数及びその議決権数
第1号議案
議決権行使書提出の株主数
(うち、原案に賛成の株主数
委任状提出の株主数
合計株主数
[ ]名
[ ]名
[ ]名
[ ]名
その議決権数 [ ]個
その議決権数 [ ]個)
その議決権数 [ ]個
その議決権数 [ ]個
(合計議決権数 [ ]個は、総株主の議決権の[ ]%)
第2号議案
議決権行使書提出の株主数
(うち、原案に賛成の株主数
委任状提出の株主数
合計株主数
[ ]名
[ ]名
[ ]名
[ ]名
その議決権数 [ ]個
その議決権数 [ ]個)
その議決権数 [ ]個
その議決権数 [ ]個
(合計議決権数 [ ]個は、総株主の議決権の[ ]%)
◆特徴
議案ごとの原案賛成の株主数とその議決権数の上に議決権を行使することのできる株主の議決権に対する出席株主の議決権の割合も記載しているところに特徴があります。
◆問題点
詳細で分かりやすいことはいいです。
ただし、株主総会の冒頭に原案賛成の議決権を報告してしまうと、議案の採決前に結果が判明してしまう可能性がある点に問題点があります。
○必要最小限の記載
その議決権の総数
出席株主数(書面による議決権行使・委任状出席を含む)
その議決権の総数
[ ]個
[ ]名
[ ]個
普通決議の定足数は、定款で別段の定めのない限り、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(会社法309条1項)となっていることから、これらの記載が必要最小限の記載となります。
その議決権の総数
[ ]個
剰余金処分のように会社法上定足数のない議案で、かつ定款で普通決議の定足数を排除しているような場合には、「出席株主数(書面による議決権行使・委任状出席を含む)、その議決権の総数」のみを記載することがあります。
しかし、実務では前例を参考にして株主総会議事録を作成することが多く、前例に従った結果、定足数のある議案であるにもかかわらず、「出席株主数(書面による議決権行使・委任状出席を含む)、その議決権の総数」のみを記載してしまう可能性があります。
したがって、少なくとも議決権を行使することのできる株主の議決権の数は記載しておいた方がよいと思われます。
○基準日後に議決権行使できる者と定めた場合の例
発行済株式総数(平成25年◯月×日現在)
議決権を行使することのできる株主数
その議決権数(1単元の株式数1,000株)
本日出席の株主数
その議決権数
代理人出席の株主数
その議決権数
書面による議決権行使株主数
その議決権数
合計議決権数
[ ]株
[ ]名
[ ]個
[ ]名
[ ]個
[ ]名
[ ]個
[ ]名
[ ]個
[ ]名
<別紙>
基準日(平成25年△月△日)現在、株主総数及び発行済株式総数
[ ]名 [ ] 株
上記発行済株式総数に平成25年×月×日付で発行された株式分割により株式を加えた株式数
[ ] 株
本総会において議決権を行使することのできる株主数及びその議決権数
[ ]名 [ ] 株
会社法では基準日後に株式分割(会社法183条)、新株の募集(199条)又は株式の無償割当て(会社法185条)によって株式を取得した者の全部又は一部の議決権を行使することのできる者と会社の裁量で定めることができます(会社法124条4項)。そして、その旨を定めた場合には、これを記載することとなります。
今回で株主の出席方法の具体例については終わりです。次回からは、株主総会の議事の経過の要領及びその結果(会社法施行規則72条3項2号)についての説明をしていきたいと思います。
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