登記申請用の議事録 2
~総会議事録と共に提出すべき書面とは?~
2013年10月8日 掲載
前回は、登記申請時に総会議事録の添付が求められる場合を確認しました。
今回は、総会議事録を添付する際にあわせて提出すべき書面について説明します。
○総会議事録と就任承諾書
取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人といった役職は、株主総会で選任決議を受ければ当然に就任するというわけではありません。
選任された人物が就任承諾を行い、会社と民法上の「委任」契約を結んで初めて就任となります(民法643条、会社法330条・402条3項)。
したがって、こうした役職に関する事項を登記する際も、「選任決議があった」という事実だけでなく、「選任された者が就任承諾をした」という事実をセットで示す必要があるのです。
実際に、商業登記法54条も、取締役や監査役・執行役、会計参与と会計監査人の登記申請書に「就任を承諾したことを証する書面」の添付を求めています。
ただし、就任承諾の事実が議事録で明らかにされている場合は、就任承諾書は特に必要ありません(昭和36年10月12日付民事四発第197号民事局第四課長回答)。
また、株主総会で選び出されるという点は同じであっても、代表取締役、特別取締役、委員および代表執行役については「選任」ではなく「選定」という用語が使われています。「選定」は「選任」よりもやや条件が緩やかで、法律上必ずしも承諾を必要とはしておらず、承諾を要するか否かは他の法令や学説、慣例に任されています。
ここで「選定」に対する承諾の要否を司っている商業登記法によれば、業務執行取締役および常勤の監査役を除いて、就任承諾書が必要とされています(54条1項)。
結局、ほぼ全ての役職について、登記時に就任承諾書を添付することになりますね。
○電磁的記録による登記申請
電磁的記録を用いた登記申請では、書面の登記申請書に加え、電子署名をした議事録、電子証明書を付したフロッピーディスク等を提出します(商業登記法19条の2)。
現在はまだ紙媒体による申請が主ですが、電子化が進む今日では、今後電磁的記録による登記申請も増加していくことでしょう。
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