出勤停止
2012年9月10日 掲載
出勤停止とは、会社の服務規律違反に対する制裁として、労働契約を存続させつつも、労働者の就労を一定期間禁止することをいいます。自宅謹慎や出勤禁止ともよばれます。よく似たものとして、懲戒休職がありますが、こちらは比較的長期のものをいうことが多いようです。
公務員については国家公務員法83条、人事院規則12-0により「1日以上1年以下」の期間で停職処分をすることができ、その期間中は無給とされていますが、労働基準法上、出勤停止について具体的な定めは設けられておらず、出勤停止の要件・効果は就業規則等である程度自由に定めることができます。
まず、出勤停止の期間についてですが、行政通達では、「公序良俗の見地より当該事犯の情状の程度等により制限のあることは当然である」(昭和23年7月3日基収2177号)とされており、無期限の出勤停止が許されないのはもちろん、事後的に処分が無効とされる可能性もあります。各社の就業規則では、1~2週間程度を期間の上限と定めているところが多いようです。
次に、出勤停止期間中の賃金ですが、上記と同じ行政通達で、「就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者がその出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の額以下の賃金を支給することを定める法91条の規定には関係ない」(昭和23年7月3日基収2177号)とされています。
つまり、出勤停止期間中の賃金を支払わないことは、労働基準法91条の減給制裁の制限規定の例外となります。
ただし、就業規則で無給であると定めればすべて認められるというわけではなく、出勤停止の合理性(対象者を就労させないことが、事故や不正行為の再発を防止したり、職場の秩序を維持するために必要である等)が認められない場合には、無効となった出勤停止期間に相当する部分の賃金については、支払義務を負うことになるでしょう。
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