文書の種類
2011年12月27日 掲載
文書には、その作成方法や役割によって、様々な呼び方があります。ここでは、それらの名称と役割について紹介します。
○原本
一定の事項を表示するため確定的なものとして作成された文書のことで、下で説明する謄本や抄本のもととなります。
「公証人ノ作成シタル証書ノ原本」(公証人法25条1項)のように用いられます。
○謄本
謄本とは、文書の原本の内容を、そのまま全部完全に写し取った書面のことです。原本の内容を証明するために作成されます。戸籍謄本、登記簿謄本などが代表例です。
なお、戸籍や登記簿に関しては、各市町村でコンピュータ化が進められており、順次情報が電子データに移行されています。
これに伴い、従来の原本の写しではなく、データをプリントアウトしたものに証明文を付す形式になったため、戸籍謄本や登記簿謄本は「全部事項証明書」に名称を変更しています。
○抄本
抄本とは、文書の原本の内容のうち、一部を抜粋したものです。戸籍抄本、登記簿抄本などが代表例です。
謄本と同様、コンピュータ化が完了した役所では、戸籍抄本は「戸籍個人事項証明書」、登記簿抄本は「一部事項証明書」へと名称を変更しています
○正本
正本には2つの意味があります。ひとつは、謄本の一種で、権限のある者が法令により原本に基づいて正本として作成した文書のことで、「証書ノ正本」(公証人法48条1項)、「判決書の正本」(民事訴訟法255条2項)のように用いられます。
もうひとつは、副本に対する語として用いられる場合で、2組の文書を作成した際に、その文書に主従を付けたときの「主」の文書のことです。「戸籍は、正本と副本を設ける」(戸籍法8条1項)のように用いられます。
○副本
正本に対する語として用いられる場合で、2組の文書を作成した際に、その文書に主従を付けたときの「従」の文書のことです。
○写し
いわゆる「コピー」のことです。謄本や抄本には、公証権限を持つ公務員が原本と相違ない旨(「これは謄本(抄本)である。」)の認証文言を付記しますが、写しにはそういった認証がありません。
なお、市町村役場で取得できる「住民票の写し」には、「この写しは、住民票の原本と相違ないことを証明する」という記載があるため、「写し」というタイトルですが、謄本または抄本です。
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