譲渡制限株式の譲渡

2011年12月27日 掲載

 株式の譲渡について会社の承認を必要とする株式(譲渡制限株式。会社法2条17号)を譲渡しようとする場合には、以下の手続を踏む必要があります。

 まず、(当然のことですが)譲渡先を探す必要があります。株式の譲渡制限が付いている会社は、中小企業が多いため、買い手を探すのが難しく、また、市場が存在しないことから売買価格をいくらにするかについても、その都度交渉となります。

 譲渡先が見つかったら、会社に対して譲渡承認請求を行います(会社法138条)。譲渡承認請求では、譲渡の相手方及び譲渡しようとする株式の種類・数を明らかにしなければなりません。

 請求を受けた会社側は、譲渡を承認するか否かを決定し、通知しなければなりません(会社法139条2項)。決定機関は、取締役会設置会社であれば取締役会、そうでない場合は株主総会です(会社法139条1項)。請求の日から2週間以内に決定の通知をしなかった場合には、譲渡を承認したものとみなされます(会社法145条1号)。

 譲渡請求が拒否された場合、新たな譲渡先を探すことになりますが、譲渡承認請求に譲渡を承認しない場合は、会社または会社が指定する買取人が株式を買い取るように記載しておけば、これらの者に株式を買い取ってもらうことができます(会社法138条1号ハ)。
 この場合の売買価格は、協議によって決まりますが(会社法144条1項)、裁判所に決定してもらうこともできます(同条2項)。買取の通知から20日以内に裁判所に売買価格の決定の申し立てをしなかった場合は、1株当たり純資産額が1株当たりの売買価格となります(同条5項)。


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