株主総会が開催された日時及び場所2 ~株主の出席方法の具体例1~
2013年12月10日 掲載
今回は、「株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席方法を含む)」(会社法施行規則72条3項1号)のうちの「株主が株主総会に出席した場合における当該出席方法」について典型例の説明をしていきたいと思います。
○典型例
発行済株式総数(平成25年◯月×日現在)
議決権を行使することのできる株主数
その議決権数(1単元の株式数1,000株)
本日出席の株主数
その議決権数
代理人出席の株主数
その議決権数
書面による議決権行使株主数
その議決権数
合計議決権数
○,○○○株
○○名
○○○個
○○名
○○○個
○名
○○個
○○○名
○○○個
○,○○○個
(1)総株主数・発行済株式総数
総株主数や発行済株主総数については、法令上記載することを要求されておらず、また、記載しなかったからといって問題が生じることが少ないことから、記載されることは少ないです。
しかし、総株主数・発行済株式総数は、会社の規模をも表示するものとしてそれ相応の意味を有している側面もあるので、記載しておく方がよいと思われます。
(2)議決権数・1単元の株式数
◆単元株制度を採用していない場合
株主は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有します(会社法308条1項本文)。ただし、議決権のない株式は議決権数から除きます。
そして、単元株制度を採用していない場合の議決権数は以下の通りとなります。
◆単元株制度を採用している場合
単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有します(会社法308条1項ただし書)。ただし、議決権のない株式は議決権数から除きます。
そして、単元株制度を採用している場合の議決権数は以下の通りとなります。
◆議決権のない株式
法令上、議決権がないと規定されている株式は以下の通りです。
- 相互保有株式(会社法308条1項本文括弧書、会社法施行規則67条1項)
- 自己株式(会社法308条2項)
- 単元未満株式(会社法189条1項)
- 議決権制限株式(会社法108条1項3号、同2項3号)
- 裁判所の緊急停止命令によって議決権の行使を停止された株式
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律70条の13) - 議決権行使禁止の仮処分を受けた株式(民事保全法24条)
(3)書面による議決権行使株主数
◆原則、書面・電磁的記録による議決権行使を定めるかは自由
書面や電磁的記録(インターネット)による議決権行使を認めるか否かは会社が自由に定めることができます。しかし、株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的記録によって議決権を行使することができることとするときは、その旨を定めなければなりません。
取締役会設置会社では、取締役会の決議によって定めることとなります(会社法298条1項本文・3号・4号、4項、416条4項4号)。取締役会非設置会社においては、取締役が定めることとなります(会社法298条1項本文・3号・4号)。
◆書面による議決権行使を定めなければならない場合もある。
株主が1,000人以上の場合には、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができる旨を定めなければなりません(298条2項)。
ただし、株主が1,000人以上の株式会社であっても上場会社であれば、委任状の用紙を交付することにより議決権行使を第三者に代理させることを勧誘した場合には、書面投票の採用義務は生じません。
したがって、株主が1,000人以上の会社には、書面による行使又は委任状の勧誘が義務付けられることとなります。
そして、書面、電磁的記録及び委任状によって議決権を行使した議決権の数を株主総会議事録に記載することとなります。
次回は、今回とは異なる具体例を用いて説明していきたいと思います。
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