押印の種類

2011年12月27日 掲載

 押印には、その役割によって、様々な呼び方があります。ここでは、それらの名称と役割について紹介します。

○記名押印

 署名以外の方法で氏名を記載し、印章を押すこと。署名の場合、自分の手で書くのが原則となりますが(自署)、記名の場合、ゴム印でも印刷されたものでも構いません。
 商法32条は「この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。」と規定し、商法中の規定について、署名の代わりに記名押印をすることができるとしていますが、一般の契約書についても、裁判上、記名押印に署名と同等の効力を認めています。

○契印

 一つの書類が数枚の紙等からなる場合に、落丁や、差し替えられたり、抜き取られたりするのを防ぐため、そのつづり目、継ぎ目にかけて印を押すこと。具体的には、(1)ホッチキス等で綴じたあとに、両ページの境目(折り込み)の部分に押印する方法と、(2)袋とじにして、帯と表紙との間に押印する方法があります。

○割印

 数個の書類が相互に関連する場合、これを証するために両書類にまたがって印を押すこと。一方の文書が改ざんされることを防ぐ役目があります。ただし、割印の意味で契印ということもあります(公証人法59条)。領収書とその控え、契約書を二通作った場合にその二通間で押すなどがその代表例です。

○訂正印

 訂正権限のある者の訂正であることを明確にするために押す印。訂正個所に2本線を引いて正しい文字を書き、欄外に何字削除、何字加入と転載した上で印を押します。

○消印

 収入印紙の再使用を防ぐために、文書に貼った収入印紙と台紙とにまたがって押印すること(印紙税法8条2項)。印の持ち合わせがないときは、ペンなどで線を引いたりすることでもかまいませんし、契約関係者すべての印も不要です。官庁への申請書類等、書類によっては、消印をすると無効となるものがありますので注意が必要です(登記申請書類等)。

○止め印

 余白の悪用防止のため、末尾に余白が生じた場合、文書の記載は終わっていることを示すために、押す印。「以下余白」などと記載しても止め印と同じ効果があります。

○捨印

 契約書の記入ミスや脱字を簡易に処理するため、あらかじめ欄外に押捺すること。訂正印の代わりに使用されます。悪用の危険があるので、使用しないのが望ましいでしょう。


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